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高市政権が「旧姓使用の法制化」を推し進めていることに対し、旧姓使用の拡大では問題は解決されないという声が上がっている。

選択的夫婦別姓の実現を求めて国を相手に訴訟を起こしている裁判の原告らが3月18日、東京高裁での口頭弁論後に集会を開催した。

集会では、原告の1人である内山由香里さんが「旧姓使用法制化は、喉が渇いて水がほしいと言っている人に塩水を飲めと言っているようなもの」と表現。

「その水を望まない人にとっては、見た目の変わらない同じ透明な水かもしれませんが、それで渇きを癒すことはできません。水を求めている人たちにとって塩水は受け入れられないのに、その“違うもの”を国や政府、政治が押し付けてよしとしていることに疑問を感じています」と語った。

別の原告の上田めぐみさんも「私たちはそもそも改姓をしたくないと言っています」と強調した。

「自分の名前を旧姓にしたくない、旧姓で呼ばれたくないと言っている。(旧姓の法制化は)私たちのニーズに応えた物になっていません」

安田菜津紀さん、姓を変えたことへの後悔を語る

集会にはフォトジャーナリストの安田菜津紀さんも参加した。

安田さんは東日本大震災の後、震災で母を亡くしたパートナーと結婚したが、その時に深く議論をしないまま、夫の名字に変えたという。

そのことについて「後悔をしているという気持ちがある」と振り返った。

「あの時、ジェンダーや不平等の問題に対する知識や意識があったら、パートナーともっと違う話ができたんじゃないかと思うんです」

「当時は『結婚したら女性が姓を変える』という社会の中で根深く残っているジェンダー不平等を、自分の中でも無意識的に内面化してしまっていた。そのことを今では言語化ができるんですけれども、あの時はまだうまくできず、知識や意識が乏しかったなと思っています」

安田さんは結婚後も旧姓で仕事を続けているものの、旧姓で結んだ契約の解約や、取材で身分証明をする時に名刺と免許証の名前の違いを仕事される時など、仕事や生活のさまざまな場面で戸籍上の名前とのねじれに直面することがあると語った。 

さらに、姓の選択は生活上の不便だけでなく、アイデンティティや人間の尊厳、人権の問題だとも指摘した。

「仕事やプライベートで積み重ねてきたもののすべてが、私の安田という名前に紐づいていると思っています。名乗りに強いこだわりがない方にはもちろんその選択があるのがいいと思います。しかし私にとっては、自分の尊厳やアイデンティティと切り離せない問題だと思っています」

口頭弁論後に開いた集会に参加した原告と弁護士、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん口頭弁論後に開いた集会に参加した原告と弁護士、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん

本当の「折衷案」は選択的夫婦別姓だと訴え

高市政権の進める「旧姓の法制化」はどのようなものになるのか。政府は、公的書類などに、戸籍姓と旧姓を「併記」するではなく「単記」できるようにすることで、社会生活で不便や不利益を減らすことを目指すとしている。

しかし、黄川田仁志男女共同参画担当相は3月16日の参院予算委員会で、住民票やマイナカード、パスポート、免許証なども単記が可能かを聞かれ「厳格な本人確認に用いられる書類については、併記もありうる」「何ができて何ができないかは検討中」など、曖昧な答弁を繰り返した。 

原告の上田さんは、担当大臣でさえ、何が単記できるようになるのかなどについて理解していないことへの懸念を表明。

「高市政権は旧姓使用の法制化を折衷案であるかのように話しているが、誰もが改姓するかしないか選べる選択的夫婦別姓こそが、本当の真ん中にある折衷案だ」と強調した。

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