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ケラリーノ・サンドロヴィッチと緒川たまきによる演劇ユニット「ケムリ研究室」の第5回公演『サボテンの微笑み』が、2026年3月29日(日)東京・三軒茶屋のシアタートラムにて開幕した。この度、ケムリ研究室および出演者からコメントと舞台写真が公開された。

岸田國士の短編戯曲『温室の前』に想を得たという本作は、とある兄妹に降りかかった恋愛騒動を通し、外界と隔絶された暮らしを送ってきた二人の心模様を描く会話劇。ロマンティックコメディーから不条理劇、ディストピアものまで、味わいは違えど、いずれも壮大な虚構を組み上げてきた同ユニットが、敢えて「小さな物語」を目論み、取り組んだ新作だ。

時は昭和3年。学と空子の兄妹は、東京郊外の立派な洋館に二人きりで暮らしている。温室で植物を育てる兄と、何くれとなく世話をする妹。親の遺産で何不自由ない暮らしを続ける一方で侘しさを拭いきれない二人だったが、旧知の夫婦・日乃出とマユミ、学の旧友で作家として活躍する鳥羽の来訪で、その暮らしにも変化の兆しが見えてきて——。

世間から隔絶されて暮らす二人の関係はまるで夫婦のよう。レコードに慰められ、孤独を認める……年越しの、ほんの十数分のやりとりを描いた序幕から、その親密さといびつさは露わになっている。やがて来訪者たちが、外界の風を運び込み、恋愛ドラマを展開するようになってもなお二人のふるまいは垢抜けず、時に風変わりなまま……なのだが、同時に互いの恋路を思いやる優しさ、世間ズレしていないからこその率直さ、純粋さも湛え、次第に目が離せない魅力、吸引力を放つようになっていく。個性的な訪問客たちの気ままともとれる言動、それに振り回される二人が巻き起こす笑いも、この兄妹のありようをいっそう切なく、愛おしいものに見せている。

時代や人間関係の設定こそ、古風でささやかなものという印象も与える本作。だが、そこで描かれる人間の表情、感情はあまりに瑞々しく、艶っぽくさえある。言い換えれば、生きた人間の営みを目の当たりにし、じっくりと見つめることのできる、演劇ならではの愉しみがそこにはあった。

なお、東京公演は4月19日までシアタートラムにて上演、その後兵庫・豊橋・北九州・新潟を巡演する。

ケムリ研究室 (ケラリーノ・サンドロヴィッチ+緒川たまき) コメント

今作は劇中のプライベートな時間を大切に作りました。客席の皆さまがそのことを受け取ってくださり、集中して楽しんでくださっていることが伝わってくる初日となりました。感激と感謝の気持ちでいっぱいです。幸せと不幸せの狭間にある複雑な味わいを追い求めて辿り着いた『サボテンの微笑み』。キャスト・スタッフ一同、心を込めてお届けします。ぜひご覧ください。

出演者コメント

■瀬戸康史
変わったり変わらなかったり、遠回りしながらも少しずつその人の幸せに進んでいればそれでいい。
そんな不器用な人たちがとても可愛らしい。
大千穐楽まで鮮度を大切に演じます。

■瀬戸さおり
初日が開けました。ここから作品がどう育っていくのか、私自身もたのしみです。劇場でお待ちしています。

■清水 伸
柄にもなく袖で緊張していましたがとても楽しめました。
お芝居はお客様の心に届いて出来上がるものと再確認。

■赤堀雅秋
自分の作品以外で、開幕してこんな安堵したのは初めてかもしれません。とにかくナイーブな作品なので、慣れることなく、精一杯舞台上で生きれるように頑張ります。

■萩原聖人
無事に!!
みんないい顔!? で幕開き!!
ハラハラした甲斐がありました笑

■鈴木慶一
初日を迎えて、演劇の凄さに感銘しております。
何故かと言うと、気遣いや出演者並びにスタッフの皆さんの細かい配慮は音楽界とは違った重量があります。
それに浸るという恐ろしさの面白さです。