イメージ画像お腹がいっぱいなのに、ポテトチップスやクッキーを食べてしまい、後悔したことはないだろうか。そんな時は「意志力が弱い」と自分を責めてしまいがちだ。
しかし空腹ではないのにお菓子を食べてしまうのには、脳の反応が関係している可能性があることが新研究からわかった。
学術誌「Appetite」に2026年3月に掲載された研究では、満腹になった後も、脳がポテトチップスやチョコレート、ポップコーンなどの刺激に反応していた。
研究の主著者でイギリス・イーストアングリア大学の心理学講師トーマス・サムブルック氏は「刺激にはとても大きい力がある」とハフポストUS版に語った。
サムブルック氏によると、私たちは「食べると一時的に幸せになれる物が近くにある」という信号にさらされて生きている。
この絶え間ない刺激に脳が反応し、空腹でなくても食べる習慣ができてしまう可能性があるという。
ついお菓子を食べ過ぎてしまう習慣を変えるにはどうしたら良いのだろうか。食と栄養の専門家に聞いた。
間食をする時に脳では何が起きているのか?
サムブルック氏らの研究チームは、空腹状態の76人に、ポテトチップスやマシュマロ、フルーツカクテルなど、甘さや塩味の食品から1つを選んで、満腹になるまで食べてもらった。
その後、その食品の画像を見せたところ、「満腹でもう食べたくない」と思っていたにもかかわらず、脳内の「報酬」に関係する領域が反応し続けたという。
サムブルック氏は、「その食べ物に飽きて気持ちが悪くなっていても、刺激となるものを目にすると脳は報酬の信号を発するのです」と話す。
ニューヨーク市ウッドハル保健病院の管理栄養士ジェシカ・ヒギンズ氏も、「脳は食べ物の画像に非常に敏感です」とハフポストUS版に語る。
ヒギンズ氏によると、これまでの研究からも「間食をしたくなる原因は空腹かどうかにはほとんど関係がない」ということが示されてきた。今回の研究はその結果をさらに裏付ける内容だったという。
空腹でなくても食べたくなるのは、いる場所や一緒にいる相手、自分の感情、周囲の食べ物、食品広告などの要因が関係しているという。
間食はコントロールできない?
栄養と栄養学アカデミーで広報を務めるテレサ・ジェンティーレ氏は「間食したいという欲求や衝動は、素早くかつ自動的に起こるため、自分では制御できないように感じるかもしれません。しかしコントロールできます」と、ハフポストUS版に語る。
そのために重要なことの1つが、間食したくなるきっかけを避けられる環境を整えることだという。
具体的には、ジャンクフードが置かれている職場の休憩室に行かないなどの方法が含まれる。
ヒギンズ氏も、「食べ物を見た時の脳の反応まではコントロールできなくても、実際に食べるかどうかは自分で決められる」と指摘。
そのためには、まずは食品広告やストレス、周囲からの圧力など、間食のきっかけになっている要因が何かを知ることが重要だ。
他にも、自分でコントロールできること(何を買うかなど)や、日々の食事、自分の空腹感や満腹感のサインを意識することも大切になる。
間食のメリットとデメリット
とはいえ、間食は必ずしも悪いものとは限らない。
ジェンティーレ氏によると、1日3回の食事だけで必要な栄養を十分に摂れない場合、間食は栄養不足を補う良い機会になり得る。
同氏は「特に食事と食事の間が長く空く時には、健康的な間食はエネルギー源にもなります」と話す。
問題は、多くの人がジャンクフードに手を伸ばしてしまうことだ。ジャンクフードは栄養価が低い一方で、糖分や脂肪が過剰に含まれていることが多い。
ヒギンズ氏も、ジャンクフードは「ハイパーパラタブル」つまり、非常においしく感じられるために食べるのをやめにくく、少量でも高カロリーになりやすい食品だと説明する。
さらに、人間は退屈しのぎで間食をすることも多く、それが不健康な習慣を強化し、食べ過ぎにつながる可能性があるともジェンティーレ氏は指摘する。
また、食事を抜いてしまうような間食も好ましくない。
間食をやめられない時はどうすればいいのか
サムブルック氏は「食べ物の刺激に反応するたびに、脳と間食との関係が強まり習慣になっていく」と指摘する。
一方で、間食を習慣にしないことで、結びつきは弱まり、脳は自動的に反応をしなくなっていくという。
間食し過ぎる習慣を断ち切るためのスタートになるのが、“きっかけ”を避けること。話を聞いた専門家は次のような行動を勧めている。
・食事を十分にとる
ヒギンズ氏によると、過度な食事制限や食事抜きは、かえって間食を促してしまうことがある。タンパク質や全粒穀類、果物、野菜、健康的な脂肪をバランスよく含む食事をすることで、空腹感や食欲、エネルギー、気分が安定しやすくなる。
・自分とお菓子の間に“距離”を作る
ジェンティーレ氏は、無意識にスマホをスクロールしたり、テレビを見たりする習慣など、「間食と結びついている行動」を避けることを勧める。フードデリバリーのアプリを削除したり、不健康な食品を家に置かないようにしたりして、手軽に食べものを手に入れられない環境を作るのも有効だという。
・環境を変える
「昼食後にいつも甘いものを食べてしまうなら、散歩をしてみてください。気分転換になり、脳に『もう満腹だ』というサインが届く時間を持てるようになります」(ジェンティーレ氏)
・間食しているときの自分の感情に注意を向ける
ヒギンズ氏によると、お腹が空いていないのに間食したくなる時には、ストレスを感じていたり、気が散っていたり、退屈していたりすることがある。そのため、自分の感情に注意を向けて、そのような状態ではないかを考えてみることが重要だ。ジェンティーレ氏も、こうした状態は、無意識の間食を引き起こしやすいため「空腹」と「満腹」のサインを理解することが重要だとアドバイスする。
健康的な間食を取り入れるには
ヒギンズ氏によると、間食を含めた様々な食べ物は健康的な食生活の一部になり得る。
では間食を健康的なものにするためには何ができるのか。ヒギンズ氏は「バランス、タイミング、そして栄養価の高い食品を選ぶこと」がポイントだと説明する。
間食のタイミングを悩んでいる、食べ物との関係を見直したい、自分に合った食品を知りたい時には、管理栄養士に相談するのもお勧めだという。
間食は果物や野菜、タンパク質や脂肪、全粒穀類の摂取量を増やす助けにもなる。
健康的な間食には、果物やナッツ、枝豆などの豆類、フムスやワカモレを添えた野菜、ピーナッツバターを塗った全粒粉トーストなどが含まれる。
ジェンティーレ氏は、健康的な食品をすぐ手に取れる場所に置き、栄養価の低い食品を見えない場所にしまっておくことが重要だと強調する。
「環境はとても重要なんです。お腹を空かせて帰宅したとき、目の前にポテトチップスの袋が置いてあれば、つい手を伸ばしてしまう可能性は高まるでしょう」と話す。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。


