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元宝塚星組トップスター礼真琴が退団後初めて挑む『BOOP! The Musical ブープ!ザ ミュージカル』。1930年代のアメリカで生まれた人気キャラクター、ベティ ブープが白黒のアニメーションの世界から飛び出し、現代のニューヨークで活躍するブロードウェイ・ミュージカルで、今回が日本初演。日本でも『キンキーブーツ』や『PRETTY WOMAN The Musical』でおなじみのジェリー・ミッチェルがアメリカ初演に引き続き演出と振付を担当している。初日公演を観た(5月27日18時、東急シアターオーブ)。

(C)梅田芸術劇場

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白黒のトゥーンタウン、さまざまな役を演じて人気を博するスターのベティ ブープは、本当の自分として平凡な一日を過ごすことを願い、発明家グランピー(ダブルキャスト。この日は大澄賢也)の考案した装置を使って現代のニューヨークへとやってくる。色のある世界に驚くベティは、ミュージシャン志望のドウェイン(ダブルキャスト。この日は松下優也)や自分に憧れる少女トリーシャ(ダブルキャスト。この日は鈴木瑛美子)、ニューヨーク市長を目指すレイモンド・デマレスト(ダブルキャスト。この日は渡辺大輔)、彼を支えるキャロル・エヴァンス(まりゑ)らと出会う。一方、ベティを探してやはり現代のニューヨークにやってきたグランピーは、かつて思いを寄せた女性ヴァレンティーナ(柚希礼音)と再会する。――心惹かれ合っていくベティとドウェイン。二人の恋の行方は?

(C)梅田芸術劇場

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カラフルでリアルな世界の人々を励まし、力づけるうち、ベティは自分自身が求めていた何かに気づいていく。1920年代のジャズ・エイジに自由奔放な生き方を謳歌した女性たち、いわゆる“フラッパー”をモデルに誕生したベティ ブープ。そんな彼女の姿を現代社会において描くことで、今日の女性、そして男性のさまざまな生き方を励まし、肯定する作品となっている。思わず口ずさみたくなるメロディー、そしてタップにストリートダンス、しっとりしたデュエット・ダンス等々に彩られ、白黒のアニメの世界とカラフルな現代社会が対比的に描かれており、二つの世界が交互に登場する二幕冒頭の場面が楽しい。

礼真琴はベティ ブープのあの特徴的な髪型とアイメイクで登場、キャラクターを意識した声でセリフを語る。パワフルな歌や踊りに礼らしさがあり、宝塚歌劇団在団中に演じた『ガイズ&ドールズ』のアデレイドを思い起こさせる瞬間も。ドウェイン役の松下は、恋した女性が二次元キャラ?! と困惑する青年の純情をせつなく演じ、歌い上げる。ベティに憧れるトリーシャ役の鈴木は素直な歌と自然な演技がいい。キャロル役のまりゑはパンチの効いた歌唱を聴かせる。ヴァレンティーナ役の柚希は、アニメーションに起源をもつ作品世界にふさわしいポップな造形で、グランピーとのデュエット・シーンでもかわいらしさと迫力のあるパフォーマンスを見せる。ベティの愛犬パジー(人形)を遣うのはJIJO。動きが非常にかわいらしく、表情豊かで目が離せない。

(C)梅田芸術劇場

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 初日の客席は開演前アナウンスから歓声が沸く盛り上がりぶりで、礼扮するベティ ブープが登場したり、衣裳があらわになったりするたび拍手と歓声が。終演後の初日スペシャルカーテンコールにはジェリー・ミッチェルをはじめとする海外クリエイターたちも登場し、演出家が主演女優をハグする場面もあった。

取材・文=藤本真由(舞台評論家)