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“男性の”アイリーン・アドラーとシャーロック・ホームズの因縁を描く新たなシャーロック・ホームズの物語『ホームズ&アドラー The Final Problem』が上演される。朗読&生演奏というスタイルを用い、「ボヘミアの醜聞」「最後の事件」などホームズお馴染みのエピソードを盛り込みながら再構築されたIfのホームズの世界を創り出していく本作。ホームズを演じる瀬戸利樹に、新たな表現へと立ち向かっていく喜びと愉しみを語ってもらった。

ーーシャーロック・ホームズ役で出演される今のお気持ちは?

僕、『名探偵コナン』がめっちゃ好きなので(笑)、いろいろと親近感を感じて嬉しかったです! とはいえ本家のシャーロック・ホームズのことはまだしっかりと網羅はできていないんですけど、この世界観を思い切り楽しみながらやれたらいいな、と思ってます。

瀬戸利樹

瀬戸利樹

ーーホームズは個性的で魅力的な人物。よく“変人”などと呼ばれたりもしますが、キャラクターのイメージというと…。

ホームズが持つこちらがハッとさせられるようなあの感性、あの頭の良さは本当にすごいですよね。また、ホームズは頑固者だけれど、僕は屁理屈屋というか天邪鬼なんです。誰かに「右向け」って言われたらもう絶対右を向きたくないタイプ(笑)。だから……ちょっとずれているかもしれませんが、ホームズの気持ちはわからなくはないです。自分は外からもらったものをそのまま返すのではなく、もっと豊かに感じて自分なりに消化した上で提示したいんですよね。そういうところからホームズに共感する部分はわりとあるんじゃないかと。今回は4公演出演させていただくんですけど、ワトスン役の方も一人ではないですし、相手の方によってもちゃんと変化はしつつ、いいバランスを取りながら自分のホームズを作っていきたいと思ってます。

ーー「相手に委ねることで見えてくる自分」もあります。

そうですね。ホームズだから「我」があってもいいのかなとも思いつつ、みなさんとすり合わせをしながら固めていければ。

瀬戸利樹

瀬戸利樹

ーー朗読劇という表現スタイルにはどのように向き合っているのでしょうか。

これまで出演した朗読劇は主に俳優同士の共演でしたけど、今回は声優さんも……「声のプロ」の方たちもいらっしゃる。普段なかなか他のジャンルの方とご一緒する機会がないので、ここでいろいろ一緒にやらせていただき、自分は自分のちゃんとした武器を持ち、みなさんからは新たに盗み、いい化学変化が生まれたら……と期待しています。自分としては「声のお芝居」で何が試せるのか。ただの朗読ではなく、きっかけになるようなセリフとか、ポイントポイントでうまく何かできたらいいなと。朗読劇だからこその表現を研究してみたいです。

ーー今日も素敵な英国紳士スタイル。本番のステージもホームズの生きたあの時代を感じられる世界になっていくのでしょうね。

朗読劇は聴覚はもちろん、視覚も大事な要素ですからね。いいですよね。すごくテンション上がります。なかなかこういう格好をすることもないんですけど、撮影ではあの帽子も初めて被りましたし、髪型は僕の提案も取り入れていただきました。あとはやはり生演奏。それって実は俳優陣もかなり助かるんじゃないかなぁ。朗読に寄り添った音楽によって物語の世界観へさらに連れて行ってもらえるし、お客様もより没頭できる。生の表現と生の演奏で生まれる空間、僕自身もとても楽しみです。本当にね、それこそ視覚と聴覚、半分ずつぐらいのパーセンテージで楽しめるものになると思いますし、耳だけじゃなくて、読んでる時の俳優の姿勢だったり、空気だったり、そういうところも結構みなさん作り込まれると思うんですよ。声と共にそうした佇まいや表情にも注目してみてください。

瀬戸利樹

瀬戸利樹

ーー有名だからこそ「こんなこともあったのでは」と想像させてくれる“意外なホームズ”の様子も楽しめるのは本作ならでは。ホームズファンの方にも新鮮な驚きが訪れるはずです。

そうですね。知っている人はもちろん、本当に初めてホームズの物語に触れる方々にも楽しんでもらえるようになればすごくいいなぁ。今回のホームズ、演じる上では序盤が特に本当に大事だなと感じています。なので後半への思わぬ展開にしっかり自分の気持ちも持っていけるようにコンディションを整えていかないと。そのためにはもっとホームズのことを知りたいです。原作もちゃんと読んで理解し、その上で自分の色を提示しながら稽古を進めていければ。「ホームズってこうだよね」という王道もいいし、全く新しいホームズを提示するのもまたひとつの魅力でもあるし——どこへ向かうのか、楽しみです。

公演ごとにキャストの組み合わせが違うのも贅沢で、どの回もまさに一回きりの瞬間。ぜひ見逃さないで欲しいですし、チャンスがあったら見比べてもらうのも面白いんじゃないでしょうか。僕のホームズが「ワトスンが違うとこんなふうに変わるのか」とか、「逆にどんなワトスンになっても自分を貫いているんだな、揺るがないんだ」っていうのも見えてくるかもしれない。演目自体が楽しかったから次は僕じゃない別のホームズの回も、というのも全然ありですよ!

ーー多角的に楽しめる演目になりそうですね。

まず、耳が幸せになることは間違いなし。シャーロック・ホームズの世界に登場する人々の人間関係などもわかりやすく描かれていますし、実は初めてホームズモノに触れる人にお勧めの作品になるんじゃないかな。「ファイナル」とはなっていますけど、「入門編」とも言えちゃう。シャーロック・ホームズ作品に出るのは初めての僕自身がそう感じる1作です。未知の世界に足を踏み入れて、ちゃんと信じるものは信じつつ、受け入れるものは受け入れつつ、模索しながら天邪鬼に(笑)、自分の像、自分のホームズを作りたい。みんなで楽しめる空間を作りたいと思いますので、ぜひ劇場へお越しください。よろしくお願いします。頑張ります!

瀬戸利樹

瀬戸利樹

取材・文=横澤由香    撮影=池上夢貢