スーツ×日本刀アクションで魅せる幕末転生奇譚、舞台「新宿羅生門」。待望のシリーズ3作目「戒援隊編」が8月に上演される。
今回スポットが当たるのは戒援隊の面々。これまでヒントは描かれつつも、多くは語られなかった戒援隊を中心とした物語への期待を胸に、司令官・勝聖舟役の田中稔彦、岡田零役の田中尚輝にインタビュー。本作ならではの役作りから、もう1人の戒援隊メンバーである坂本旭役の井阪郁巳への思い、見どころなどを語ってもらった。
戒援隊の“遊び”が育んだ唯一無二の関係性
――シリーズ3作目にしてついに戒援隊編です。戒援隊編は以前からこのタイミングで上演するというのは決まっていたのでしょうか?
田中稔彦(以下、稔彦):決まっていなかったですね。なんなら、4つもチームがあるので、戒援隊の順番は一生回ってこないんじゃないかぐらいに思っていました(笑)。
田中尚輝(以下、尚輝):たしかに(笑)。
稔彦:それこそ初演では我々に関する描写はかなりサラッとしていて。その分、インパクトを残そうと試行錯誤して、いつの間にかコミカルな立ち位置が定着しつつあったところからの、戒援隊編ですからね。
尚輝:今回の準備稿を読んでみたら、過去2作品で俺たちがわりと好き勝手遊んだものが反映されている印象を受けて。そこはすごく制作チームの愛を感じましたね。
稔彦:ゲーム発売前に舞台がスタートしている特殊なプロジェクトっていうのが多分にあるのかな。ゲームが先にあったら、こうはなってないと思う。
尚輝:絶対なってない。正直、舞台で役作りをした後にゲームをプレイして、「全然違った!」と思った部分もあるんですが(苦笑)、演出家もプロデューサーも「舞台は舞台で、君たちが作ってきたキャラクターで走っていこう」と言ってくれるチームで。ほかの原作ものの舞台とはまた違ったキャラへの愛の深さを感じています。零なんか、無口でセリフは「……」が多いキャラなのに、前作では歌ってましたからね(笑)!
稔彦:笑いに絡みそうにないキャラなのにね(笑)。今回も無口とは思えないくらい、よく喋りますよ、この人。
尚輝:零ってこんなに喋れたん? ってびっくりしました(笑)。
――ある意味、手探りの状態だったわけですね。そんななかで、役作りの軸としたのはどんなことでしょうか?
尚輝:戒援隊3人の関係値をどう作り上げるか、そこが1番大きかったと思います。もちろん岡田零は岡田以蔵の「血伝継承」なので、歴史上の人物としてのバックボーンは当然ありつつも、軸としては今を生きている3人の日常感をお芝居として深めるという方向に舵を切っていました。
稔彦:勝聖舟は初演から、明言されていないけれど何かに向かって一生懸命やっているのは分かっていたので、その懸命さを軸にしていたかな。前作では、上様を復活させるために全力を尽くすという筋を一本通すようにしていました。零に対しては、自分を守ってくれる駒的な感覚で大事に思っている。旭も同じく戒援隊として大事に思う部分もありながら、自分に探りを入れてくる要注意人物だと捉えていました。この3人の関係値さえベースとしてあれば、どんな脚本が来ても乗っかっていけるなっていうのはありました。
――いまの戒援隊の空気感が出来上がったきっかけは何かあったのでしょうか?
尚輝:やっぱり遊び出してからじゃないですかね(笑)。
稔彦:そうだね。2作とも戒援隊のシーンは限られていたので、稽古場でかなり自由な時間があったんですよ(笑)。だから、あれやろうか、これやろうかと色々話していましたね。
尚輝:前回、僕が遅れて稽古に合流したんですが、合流初日早々に2人が「ネタ合わせしましょう!」と(笑)。
稔彦:だってもうお客さんも「次は何やるんだろう」って構えてるんだよ、俺が出てくると(笑)。勝聖舟はそういうキャラじゃないんだけどなぁ。
尚輝:みんな勝司令のギャップが好きなんですよ!
――過去2作品を振り返ってみて、印象に残っているシーンやお互いに芝居はありますか?
尚輝:どうしよう、真面目なやつじゃないのが浮かんじゃった。
稔彦:どれ? 真面目なのは俺が言うから言っていいよ。
尚輝:稔くんが追い詰められてゴリラになった瞬間。
稔彦:アハハハハ!(爆笑)
尚輝:人は追い詰められるとゴリラになるんだなと(笑)。あの姿に役者を見ましたね。
稔彦:僕は旭に銃を突きつけられたシーンかな。郁巳の瞳に映る感情の揺れから、3人の複雑な関係性が受け取れて、そのお芝居にグッときました。
「序盤から驚く展開が」戒援隊編の見どころ
――今作はグッとくるシーンもかなりありそうですね。見どころを教えてください。
尚輝:めちゃくちゃあります!
稔彦:しっかり戒援隊編なんですが、どのチームにもドラマがあって。いよいよ物語がメインストリームに乗った感覚ですね。これまで修羅は登場しましたが、明確なラスボスが出てきていませんでしたからね。いよいよか……と感じています。
尚輝:零に関しては序盤から皆さんが驚く展開が待っています。そこをきっかけに戒援隊の中のバランスが変わっていって、お客さんが知っている戒援隊とは全く違った色が出てくると思うので、そのジェットコースターを楽しんでもらえるんじゃないかなと。シリアスなシーンもありますが、マルチエンディングでやったような「洗濯物は裏返しにしない!」みたいな日常シーンもあるんですよ。この日常とシリアスの落差が、またひとつ舞台「新宿羅生門」の新たなカラーになるんじゃないかなと思っています。
稔彦:見どころになったらいいな、という意味では旭ですね。この物語のなかで3人の中心は旭であるべきだなと感じたので、郁巳が稽古のなかでどうキャラクターを立ち上げていくのかっていうのが、僕のなかでの見どころだし楽しみな点です。
尚輝:郁巳がいないところで、郁巳へのプレッシャーが半端ない(笑)。でもたしかに、零にとっても旭は重要です。もちろん、もともと相棒ではありますが、今回はより絆を感じられるので、郁巳と一緒に芝居を高めていくのが楽しみやなと思います。
稔彦:なんか郁巳へのメッセージになってきた(笑)。記事が公開されたら郁巳に共有しようと思います。
尚輝:あとは今回、戒援隊のメンバーが増えるし、すごく戦うんですよ。シリーズで一番戦うんじゃないかな。
稔彦:殺陣多そうだったね。頑張ってね。勝はいいところで出てきて「頑張ってね」と声をかけるだけで省エネなんで(笑)。
尚輝:といいつつ、毎回なんだかんだ戦うことになってますけどね(笑)。旭や零の前世に馴染みのある人物が新キャラクターとして登場することによって、僕らの前世のことも描かれるので、歴史好きな方もかなり楽しめる内容だと思います。
――部下が増えるということで、司令としてはいかがですか?
稔彦:やっぱり嬉しいですよね。戒援隊って防衛軍管轄なので、一応軍なんですよ。司令官として「行くぞ!」と号令を出しながら、3人しかいないから、わりと自ら現場に出ていて(苦笑)。
尚輝:誰よりも現場にいる上司でしたね(笑)。
稔彦:今回はメンバーも増えるし、初めて殺陣衆(アンサンブル)が戒援隊についてくれるんですよ! それが嬉しいです。司令官として、より偉そうに、いじられたいと思います(笑)。
尚輝:一生懸命いじろうと思います!
――最後に、公演を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
稔彦:これまでと変わらぬ興奮を味わっていただける作品になると思います。これまで、戒援隊シーンを楽しんでくださっていた方々も多いと思います。そこは今回も同じように楽しんでいただき、かつ、やっと戒援隊が秘密にしてきた諸々のストーリーが描かれますので、それを心から楽しみにしていてください。
尚輝:稽古前ではありますが、これまで1作目、2作目と自分たちなりに頑張って作り上げてきた戒援隊の色を全部きれいに拾ってくださって、エンタメ要素ありの深い物語に落とし込んでくれている脚本だなと感じています。過去作品をご覧になった方も、今回初めて観てくださる方も、戒援隊がどこまでふざけられるのかを楽しみにしていただきつつ(笑)、戒援隊の熱い物語を一緒に駆け抜けてもらえたらなと思いますので、どうぞ楽しみにしていてください。
取材・文=双海しお 撮影=福岡諒祠